繁盛する歯科医院になるためには、
「患者さんに気に入られる歯科医院」へ
成長していかなければなりません。

つまり、「他の歯科医院ではなく、
あなたの歯科医院が選ばれる存在」に
成長できれば良いのです。

では、患者さんが「良いな!」
「ここなら安心して通えるな!」と
感じるポイントというのは、
どのようなところなのでしょうか?

◆接遇を向上させる

このようなことを考える時に、
パッと頭に浮かびやすいのは
接遇」だと思います。

患者さんへの応対力を高めれば、
気に入ってもらうことができる
要素が増えるのではないか?

確かに、接遇をしっかりすることは、
選ばれる歯科医院に近づくための
要素であることは間違いありません。

不快な気持ちになる応対よりは、
気持ち良く感じられる応対を
したほうが良いに決まっています。

では、どの程度、接遇を強化すれば、
患者さんが気に入ってくれるのか?
考えてみるといかがでしょうか。

丁寧な言葉遣いができること
なのでしょうか?

それとも、気持ち良く挨拶が
できることでしょうか?

あるいは、患者さんの質問に、
正しい言葉遣いで感じよく
回答できることでしょうか?

「接遇を良くする」
「接遇を改善する」

医院の雰囲気をより良くするために、
接遇を意識した取り組みをすることは
私もとても良いことだと思います。

ただ、そこに目的を持って
取り組めているのか?

接遇の向上を図るのであれば、
本質的に大切なことって、
この目的意識ですよね。

接遇を強化するとしたら、
そのゴールはどこに設定すれば
良いのでしょう?

◆接遇とは?

ところで、あなたにとって
「接遇」の定義とは
どのようなものでしょうか?

また、歯科医院では
「接客」という言葉を
あまり用いません。

これは、私が歯科の先生方との
お付き合いが増え始めたころに、
ちょっと疑問に感じた部分です。

なぜなら、他業種の場合には、
「接客」という言葉を使うのが
一般的だからです。

では、「接遇」と「接客」は、
何が違うのでしょうか?

「接遇」という言葉の定義
「接遇」と「接客」の違い

この2つの質問について、
あなたなりの答えを
持っていますか?

◆言葉の定義を大切にする

「接遇!接遇!」と言いながら、
その定義を明確にしていなかったら、
どのようなことが起こるでしょう?

もし新人スタッフから、
「接遇ってどういうことですか?」と
質問されたら…

もし新人スタッフから、
「接客とは何が違うんですか?」と
質問されたら…

あなたはどう答えますか?

ここできちんと回答できるか否かで、
スタッフ教育が成功するかどうかは
大きく変わってしまいます。

もし新人スタッフの質問に、
「接遇は接遇だ!そんなことも
分からないのか!」と回答したら、
その新人スタッフは伸びるでしょうか?

そう考えてみてもらえば、
【言葉の定義】がいかに重要なものか、
理解できるはずです。

スタッフから受ける質問というのは、
実は【スタッフ教育のヒント】が
たくさん詰まっています。

スタッフが投げかけてくる質問こそ、
スタッフが躓きやすいポイントです。

そこには、スタッフ教育において
重点的に教えていきたい課題が
たくさん含まれているのです。

「接遇の意味も分からないなんて…」と
嘆きたくなる気持ちはよく分かります。

でも、そこで止まってしまうよりも
「どう説明したら分かるかな?」と
考えるほうが、建設的です。

ということで、あなたも
あなたの考える【接遇の定義】を
作ってみてください。

◆志賀流「接遇」の定義

あらためて、「接遇」の定義を
考えてみましょう。

辞書を引いてみると、接遇とは
「もてなすこと。応接すること。」と
書かれています。

そう考えてみると、
「接客応対時の対人スキル」を
まとめてそう呼ぶのでしょう。

私はこの「接遇」という言葉を、
患者さんに『快』の気持ちを
与えるスキル】と定義しています。

一方で、「接客」という言葉は、
患者さんに接して、必要な
医療サービスを提供すること】と
定義しています。

ただ医療サービスを提供するのか、
患者さんに『快』の気持ちを与えるのか、
そこに違いを置き、重視しています。

だから、多少言葉遣いが下手でも、
患者さんが「私は大切にされている」と
感じられるものであれば、それは正解。

マナーとしては間違えていたとしても、
患者さんが「あなたにしてもらえて、
本当に気持ち良かった」なら正解。

極端な話、患者さんが「気持ち良い」と
感じてくれるものであるのであれば、
それが正解というスタンスです。

患者さんを『快』の気持ちにするには、
いろいろなスキルが必要です。

・気持ち良い言葉遣い
・患者さんとの会話の内容
・患者さんの疑問に答える知識
・患者さんの期待に応える技術

細かく上げていくとキリがないぐらい、
「接遇」にはいろいろな要素がある。

マナーや言葉遣いというのは、
接遇を構成する要素のひとつに過ぎず、
さまざまな能力が身に付くことで
やっと「接遇」にたどりつくもの。

なぜなら、目の前にいる患者さんが
『快』を感じるポイントというのは、
人それぞれ違っていて当然だから。

あるいは、同じ人であっても、
その時の状態によって変わるから。

つまり、「あなたのことを大切に
思っていますよ!」という気持ちを
きちんと持つことができるか

そして、その気持ちを患者さんに
伝わるように表現することができるか。

これが、私の考える接遇のゴールです。

◆誰と比べられているのか?

この「接遇」という言葉の定義は、
人それぞれで問題ないですし、
あなたなりの定義が必要なものです。

私と同じである必要は、ありません。

あなたの歯科医院が
あなたの歯科医院らしく
患者さんに喜ばれる。

そんな風になれる定義を
きちんと作ってみてください。

ただし、一点だけ、
絶対に外してはいけないポイントが
あります。

それは、「あなたの歯科医院が、
誰と比べられているのか?」を
きちんと考えること。

「歯科医院の接遇」と考えると、
どうしても周りの歯科医院との比較で
物事を考えてしまう傾向があります。

思考の幅を広げてみたところで、
近隣の医療機関と考えるところまでで
止まってしまう院長先生がほとんど。

でも、患者さんが購入している
商品やサービスというのは、
医療サービスだけなのでしょうか?

美容院にも行くし、飲食店にも行くし、
女性はエステに行く人もいるでしょう。

旅行に行けばホテルにも泊まりますし、
オシャレなカフェに行くのが好きかも
知れません。

同じ健康サービスで思考の幅を広げても、
スポーツジムやパーソナルトレーニングは
ライバルと言える存在でしょう。

つまり、患者さんは日頃の生活で
いろいろなサービスに接している
ということ。

あなたの歯科医院のサービスは、
患者さんが接するあらゆるサービスと
比較されている」と考えてみましょう。

「他の歯科医院と比べれば…」のレベルで
止まってしまって良いのでしょうか?

あなたにとって、
真のライバルは誰ですか?

ここまで考えていくことで、
あなたの歯科医院の接遇力は
バツグンに向上するはずです。

「接遇」という言葉の定義
「ライバル」は誰なのか?

スタッフに接遇を教える時には、
この2つのポイントを
しっかりと押さえておきましょう。