リコール患者を増やしていくためには、
次の2つの観点から考えていく必要が
あります。

1) 新規リコール導入患者を増やす
2) リコール来院患者を継続させる

新規対象者の導入率を高めていっても、
現在来院している人の脱落率が上がれば、
リコール患者は増えていきません。

逆に、現在リコールで通っている人が
しっかり通い続けていてくれても、
新規対象者が導入できなければ、
全体の来院数は横ばいです。

リコール来院数を増やすためには、
新規の導入を増やしながら、
既存の継続率を高めていくという
2つの視点が必要になります。

この両方を実現していくためには、
どのような考え方で取り組んでいくと
良いのでしょうか?

◆なぜ、リコールが必要なのか?

そもそも、患者さんにとって
リコールで通う必要があるのは、
なぜなのでしょうか?

あなたの歯科医院では、
患者さんにリコールの重要性を
どのように説明していますか?

新規導入にしろ、既存の継続にしろ、
やはり「なぜ?」という根本的な部分を
患者さんに理解させる必要があります。

なぜなら、患者さんにとって、
歯科医院は「痛くなったら通う場所」
という常識が存在しているからです。

あなたやスタッフにとっては、
リコール、定期健診がどれだけ重要か、
もはや常識とさえ言えることでしょう。

以前と比べれば、歯の健診について
患者の意識も高まってきたことは、
確かです。

とは言っても、それは以前と比べて
という過去との比較の話。

「痛くなくても歯医者に通う」という
習慣のある人は、まだまだ少数派です。

患者さんの立場になってみれば、むしろ
「歯医者に通ったことがない」というのは
自慢にさえなっています。

歯医者に通ったことがないのは、
「むし歯がない」という証明であり、
それが自慢の要素になるからです。

患者さんの思考というのは、
まだまだこの程度です。

これを「デンタルIQが低い」と
一蹴していては、何も変わりません。

患者さんに「リコールの重要性」を
きちんと伝え続けていかないと、
いつまでたってもデンタルIQは
高まらないのですから…

ですから、新規でも既存でも、まずは
「なぜ、リコールが必要なのか?」を
患者さんに理解してもらうことが重要。

理由をきちんと理解させておかないと、
リコールに通わせることはできません。

◆リコールの重要性とは?

とは言っても、リコールに通うべき理由が
そんなにもたくさんあるわけではないと
思います。

多くの歯科医院では、次の2つのポイントを
患者さんに伝えていることでしょう。

1) 継続的な治療のために
→良い状態を維持するための処置として

2) 早期発見と早期治療のために
→悪くなったとしても痛くなる前に処置を

痛くなってから歯医者に来るから、
痛い思いをしなければならない。

悪くなってから歯医者に来るから、
抜歯という最悪の選択をせざるを得ない。

もっと早く来ていてくれたら…
きちんと健診で通っていてくれたら…

あなたも日頃の診療において、
そんな歯がゆい思いをすることが
少なくないと思います。

これぞ、まさに患者と歯科医療従事者の
【常識の差】と言えます。

なので、この常識の差を埋める努力を
していきましょう。

「歯医者は、痛くなくても通うべき場所」
「歯医者は、悪くなくても通うべき場所」
「歯医者は、定期健診のために通う場所」

患者さんにこういう認識を持ってもらい、
正しい歯科医院の利用法を伝えることが
リコール増加の第一歩です。

そして、定期的に歯医者に通うことを
習慣にしてもらうことを最初のゴールに
設定することです。

患者さんには、定期健診のために
歯科医院に通うという習慣がありません。

だから、まずは定期的に通う状態を
目指すことが大事なのです。

歯科の専門家からすれば、
リコールは「歯肉の状態改善」が
目的になるとは思います。

でも、患者さんにとっては、
歯肉の状態改善と言われても、
何のことかよく分かりません。

それは、歯周病が自覚症状に
乏しい病気だからです。

「初めに来院した時のような
痛い思いをしないために」

「歯をみがいたら出血するような
ひどい状態に戻らないために」

こんな風に、そもそも来院した
理由を思い出してもらいながら、
「そうならないように」という
ゴール設定のほうが分かりやすい。

定期的な来院が習慣になったら、
歯肉の状態改善という次のゴールを
見せていくようにする。

こんな風に、段階を踏みながら
ステップアップさせていくことが、
患者のデンタルIQを高めます。

「その人に応じたリコールの理由」を
提示していくことで、初期導入の
モチベーションを高めること。

「次のステップを見せていくこと」で
継続来院のモチベーションを高めること。

この両方に取り組んでいくことが、
リコール来院数を増加させていくために
重要な要素になります。

◆もっと上のステップを見せられないか?

このように考えていくと、
リコールは初期の導入よりも
継続させるほうが難しいものです。

なぜなら、継続的に来院するうちに、
「痛くないのに…」「悪くないのに…」と
患者さんも考えるようになるからです。

それに、ホームケアとプロケアを
しっかりとやっていけば、
症状はどんどん改善していきますよね。

患者さんからすると、良くなったから
もう通わなくても良いのではないか…と
勘違いしやすいわけです。

良くなればなるほど、
患者さんの来院目的は失われていく…

ということは・・・

「痛くないのに、悪くないのに、
歯医者に通ったほうが良い理由」

を継続的に見せていかなければ、
患者さんはリコール来院に対して
積極的にはなりません。

逆に、リコールに通う目的を
どんどん見せていってあげれば、
積極的に定期健診へ通うように
なっていきます。

そのためには・・・

3)もっと良くなるために
→病気の処置から「美しく」という観点へ

という新しい視点を見せることが
とても大切になってきます。

悪くなったところが
良くなったのであれば、

「もっと良くしよう!」
「もっと良くなりたい!」

という欲が出ても不思議ではありません。

「美しく」という欲求であれば、
どこまでも追及することができる
欲求に変わります。

そこを追及することになれば、
リコール来院に終わりが来ることも
ありませんよね?

つまり、リコールを継続してもらうには、
「次のステップ」「次のゴール」を
継続的に見せ続けていく必要があります。

そのためには、症状改善という
アプローチだけでは、すぐに
限界がやってきてしまいます。

「症状が改善したら、次は?」
「ここが良くなったから、次は?」

こんな風に、次のステージを
どんどん見せ続けていく努力を
していきたいものです。

◆3つのリコール

最後に、今日の話をまとめておきましょう。

リコールには3つのタイプがあります。

1)継続的な治療のために
→良い状態を維持するための処置として

2)早期発見と早期治療のために
→悪くなったとしても痛くなる前に処置を

3)もっと良くなるために
→病気の処置から「美しく」という観点へ

1) と2)は、どちらかと言えば、
【守りのリコール】になります。

一方で、3)は【攻めのリコール】と
言えるでしょう。

同じリコールと言っても、
【守りのリコール】と【攻めのリコール】
この2つの視点が存在しています

患者さんを飽きさせないように、
守りと攻めの2つの視点を
上手に活用していきましょう!