歯科医院経営において、
経営成績を数字で分析していくことは
業績UPの必須項目です。

先日もクライアントさんから
「リコール患者が思うように増えない」
という相談がありました。

実は、この相談でも数字を見ていくことが
問題解決の足掛かりになりました。

きっとあなたの参考にもなると思うので、
シェアしてみたいと思います。

◆ 何のために数字を見るのか?

その前に、まず何のために数字を
見るのか?について。

数字を見ることの意味というのは、
医院の業績が良かった悪かったという
結果確認の意味はもちろんあります。

しかしながら、それ以上に大切なのは、
業績UPのヒントを見つけることです。

私が歯科医院サポートを始めたころ、
本当に何も分かっていなかったころに
多くの先生方が「レセ枚数」を
気にしていることを知りました。

「今月はレセ枚数が〇〇枚だった」
「先月に比べて良かった」
「実日数が少ないとダメだな」

こんな感じで、レセ枚数の動向を
気にしていくものなのか…と
思ったものです。

そのうちに、レセ枚数が
どのようなものを表す数字か、
その意味が分かってきました。

そうなると、徐々に次のようなことに
気づき始めました。

リコール患者が増えれば、
レセ枚数は増える。

新患が増えても、レセ枚数は増える。

再初診が増えても、レセ枚数は増える。

キャンセルになった患者分は
レセ枚数は増えない。

中断になってしまったとしたら、
その人の分のレセ枚数は
もう増えないものになる。

この構造に気づいた時に、
「レセ枚数って結果なんじゃ?」
ということを考えました。

ということは、「レセ枚数を
増やすためには何をどうしたら
良いのか?」と考えるほうが、
結果は変わります。

つまり、

・新患を増やす
・リコールを増やす
・再初診を増やす
・キャンセルを減らす
・中断を防止する

こういうことの積み重ねで
レセ枚数は増えていきます。

そういうことを理解しながら、
今私がサポートしている医院で
実施している「経営指標分析」が
出来上がってきました。

理解しておきたいことは、
数字を見て一喜一憂することには
何の意味もないということ。

数字が表すものは、
あなたが取り組んできたことの
結果であるということで、
そこから業績UPのヒントを
見つけることが重要なのです。

◆ リコールを増やしたい

冒頭の話に戻しますと、
今回のテーマになったのは
「リコール来院数の増加」です。

リコールを増やすためのノウハウは、
あなたもたくさんご存知でしょう。

特に短期間で効果が出やすいのは、
「次回の予約を事前に確定する」
という方法です。

そうすることによって、
患者さんの立場から見れば
「健診のために歯医者さんに行く」
という決まった予定になるため、
リコール来院の動機になるからです。

ところが、せっかく予約を取っても
来院してくれなければ、
リコール来院数は増えません。

今回の相談は、まさにその部分。

ここ数ヶ月、医院のキャンセル数が
増えている。

特に、新しいリコール対象者の
次回来院予約を増やしていっている中で、
その人たちのキャンセルが目立つような
気がしている。

リコールの事前予約を増やしているが、
患者さんが来院してくれないために
リコール来院数が増えていないという
内容でした。

もしそうであるならば、
事前予約の取り方を見直す必要があると
考えての相談だったわけです。

こういう問題を抱えている場合、
数字を分析していくことが
とても有効です。

なぜなら、数字の推移を見ることで
問題が起こっている本質的な原因を
知ることができるからです。

◆ どういう問題が起きているのか?

ということで、今回は相談内容を
数字から分析することにしました。

昨年と今年の実績について、
同じ月で比較していくことによって
どのぐらいリコールキャンセルが
増えているのかを見ていきます。

これで、問題の要因を明確にします。

より正確な表現をしますと、
今抱えている問題について
数字上もそうなっているかを
確認することがスタートです。

リコール予約数が50人増えていて、
キャンセル数が30人増えていたら、
リコール予約患者のキャンセル数が
激増している可能性は高いですよね。

逆に、昨年のリコール来院率
(リコール予約に対する来院割合)が
今年もそんなに変わっていないとしたら、
原因はリコール予約患者のキャンセル
とは言えなくなります。

元々リコール患者のキャンセル率が
高かったとすれば、リコールの
キャンセルを減らす努力をすることが
改善策になります。

このように、リコールを増やすなら
リコール予約数とリコール来院数を
追いかけていくことで、問題の原因を
探ることができます。

今回の相談でも、リコール予約数と
リコール来院数の推移をクライアントと
一緒に分析してみました。

すると、クライアントの考えていた
予測からは意外な結果が分かりました。

なんと、リコール予約数に対する
来院数の割合は、事前予約に注力する前と
ほとんど変化がなかったのです。

むしろ、元々のキャンセル率が
意外と高くて、そのまま推移していた
ということが分かりました。

ということで、今回は
事前予約の取り方に問題があると
感じていた事例だったのですが、
実際にはキャンセル防止対策を打つ
ということが解決策になりました。

◆ 現実と感覚の差

クライアントからの相談で
意外と多いのが、今回のような
感覚的な現象を医院の問題や課題と
捉えてしまっているケースです。

今回の事例に挙げたような感覚を
持つことについては、私も理由が
分からないでもありません。

あらたにリコールの事前予約に
取り組んでみたとしたら、
その患者さんがきちんと
来院しているか気になるのは
ごく当然のことです。

だから、日々来院状況が
とっても気になりますよね。

普段よりもかなり注意して
リコールの予約と来院数を
チェックしていたわけです。

その結果、リコールのキャンセルが
とても気になるようになった。

そこで、新たに取り組んだことが
原因なのでは?という考えが
浮かぶのは、とても自然な発想です。

こんな時こそ、冷静になって
数字の推移を分析してみましょう。

今回の事例のように、実は以前から
リコールキャンセル率が高かった
という現実に気づくかもしれません。

自分のことを客観視することは
とても難しい…

数字というのは、客観的な指標を
提示するものである…

その典型的な事例でしょう。

数字を記録して、毎月集計し、
推移を見るという作業は、
とても地味です。

でも、この地味な作業を
コツコツ続けていくことで、
あなたの問題解決のヒントを
必ず生み出してくれます。

医院の業績UPを目指すなら、
まず数字のチェックから
始めてみませんか?