歯科医院の売上アップを考えた時に、
重要な要素のひとつになるのが
「患者ひとりあたりの単価」です。

特に保険診療は、言わば公定価格。

あなたが自分の好き勝手に
価格操作することができません。

それゆえに、保険診療の単価を
改善することは不可能であると
考えている先生がほとんどですが、
果たしてそうでしょうか?

◆ リコールをSPTⅡに?

単価を改善するために
最も手っ取り早い方法は、
より保険点数の高い治療に
切り替えていくことです。

特に、か強診の施設基準は、
単価の改善に有効です。

包括算定にはなりますが、
従来のリコールと比べれば
かなりの高点数。

2倍近くの点数になるケースも
少なくありません。

なので、「SPTⅡをうまく使おう」
といった流れは、ある種の流行に
なっているのでしょう。

もちろん私も、この流れに
異を唱えるつもりはありません。

同じことをするのであれば、
1点でも多いほうが良いに
決まっています。

それに、SPTⅡに移行することで、
必要な処置を必要なタイミングで
実施できるという点で、
患者さんのメリットも大きいはずです。

確かに、患者さんの窓口負担額は
高くなります。

しかしながら、負担額が増加する以上の
価値があることさえ理解してもらえれば、
患者さんも拒否しないはずです。

患者さんが分からないのは、
従来といったい何が違うのか?
ということ。

その違いと価値が理解できれば、
窓口負担額が高くなることは
了承してくれるはずです。

むしろ、私はSPTⅡに移行する
メリットを患者さんにきちんと
伝えていくべきと考えています。

保険制度上の縛りがあるために
必要な処置を必要なタイミングで
受けられないということは、
患者のデメリットだからです。

必要性があって行う処置に対して
その価値を患者さんに理解してもらい、
真っ当な診療報酬を算定する。

リコールとSPTⅡに限らず、
これは単価アップの基本です。

歯科医院は保険診療の価格を
自由に決めることができませんから、
なおさらです。

保険点数の算定漏れがあっては、
単価が伸びるはずはありません。

◆ SPTⅡの次は?

か強診の届出を行い、リコール患者を
SPTⅡに移行する。

今は、この流れが最も手っ取り早く
単価をアップする方法であることは
確かです。

なので、か強診が未届であれば、
早々にか強診の届出基準を満たすことを
考えていくべきでしょう。

すでにか強診の届出を済ませているなら、
リコール患者をSPTⅡに移行することを
考えていかなければなりません。

この流れは、今後の歯科医院経営で
必須の取り組みと言えるでしょう。

一方で、リコール患者をSPTⅡに
移行していくこと以外に
単価アップの方法はないでしょうか?

というのは、SPTⅡに移行したら、
もうその先に単価アップの方法が
なくなってしまうからです。

そうであるとしたら、
SPTⅡの増点分しか単価アップを
見込めません。

まして、SPTⅡに移行するうえで、
多くの歯科医院で大きな問題を
抱えているという現状があります。

それは、

「今までよりも窓口負担が
高くなることで、患者さんが
減ってしまうのでは?」

「窓口負担が高くなることで、
あの医院は高いなどという
悪評が立たないだろうか?」

このような不安です。

いくら価値があることとはいえ、
価格が高くなることを伝えるのは
ちょっと恐怖心が芽生えますよね。

この恐怖心に関しては、
「患者さんに説明してみましょう」
というほかありません。

実際にやってみれば、
そんなに恐れることもなかったか…
という結果になる歯科医院を
私はたくさん見てきましたので。

価格を上げる恐怖心に関しては、
患者さんに伝えてみて「大丈夫!」と
ご自身で感じることが、
一番の処方箋です。

少し話がそれてしまいました。
話を元に戻します。

SPTⅡの移行だけに頼って
単価アップを考えていたら、
その先の単価アップを考えた時に、
必ず行き詰まりがやってきます。

国が新しいものを考えてくれないと、
単価が伸びなくなるのは明らかです。

それに、多くの歯科医院で
SPTⅡの流れが導入されたら、
保険点数は下がるかもしれません。

こういった流行りの流れというのは、
先に乗ったもの勝ちという部分があるのは、
これまでの診療報酬改定の経緯からも
否めない事実です。

これは、歯科医院は公益性の強い
ビジネスで、それゆえに健康保険制度に
縛られたものである以上は、
あなたの力では変えられないことです。

だからこそ、流行りにのるだけでなく、
より本質的な単価アップ法の実践も重要と
私は考えています。

◆ 実質単価という概念

実は、窓口負担額を変えることなく
患者単価をアップする方法があります。

それは、価格に「時間」という概念を
加えて考えることです。

例えば、リコール患者を1人60分で
診ているとしましょう。

60分で500点のチャージなら、
1時間当たりのリコール単価は
5,000円になります。

では、リコール患者を1人30分で
診ることができたら、どうでしょうか?

1人30分なら、60分で2人の
リコール患者を診ることができます。

60分で500点を2人にチャージ。
ということは、1時間当たりの
リコール単価は10,000円に。

これなら、今すぐにか強診療の届出を
出すことができなくても、単価の改善に
取り組むことができます。

さらに、か強診の基準も満たせて
SPTⅡへの移行も実施していけば、
さらに単価が上がります。

診療時間を短くすることであれば、
どちらかと言うと術者側の問題。

あなたやDHの努力によって、
実現することが可能です。

これは、リコールに限った話では
ありません。

30分で1本CRをする歯科医師と
10分で1本CRをする歯科医師では、
1時間当たりの患者単価は3倍です。

さらに、そこにかかる材料費と技工料を
加味した、1時間当たりの利益を
計算してみましょう。

高額なインプラント治療ですが、
そこにかかる時間を加味した
1時間あたりの利益はいくらなのか、
きちんと計算していますか?

もし計算したことがなければ、
今すぐ計算してみてください。

そして、CAD/CAM冠の
1時間当たりの利益も計算して、
比較してみましょう。

自費を追求することばかりが
単価の改善とは限らないということが
分かるはずです。

「実質値上」という考え方を理解し、
1時間当たりの単価や利益と考えた
単価アップも考えてみましょう!