「リコール患者を増やしていきたい!」

そのように考えている歯科医院の先生は、
とても多いものです。

リコールを増やしたい理由のひとつには、
売上UPにつながるということも
あるでしょう。

でも、売上UPだけが、リコール患者を
増やしたい理由ではないはず。

「また歯が悪くなって来院する患者さんを
診ることは、とってもつらいことだから…」

「きちんと定期健診に通っていてくれたら、
歯を失わずに済んだのに…」

「歯と口の健康にも気を付けてもらったら、
老後の生活はとっても楽しくて豊かなものに
なるはずなのに…」

こんな風に、「歯科医師として、
患者さんが不自由を感じている姿を
見たくはない…」ということも、
リコール患者を増やしていきたい理由の
ひとつだと思います。

ところが、そんなあなたの想いとは裏腹に、
患者さんのほうはリコールに対する意識が
低い人がほとんど。

患者さんは、なぜ定期健診の重要性に
気が付かないのでしょうか?

◆デンタルIQが低い…

10年前と比べれば、患者さんの意識は
向上したのかもしれません。

産科では、子どもの歯を守るために
お母さんへデンタルケアを指導する
医院も増えていると聞きます。

実際に、厚生労働省の資料を見ても、
子どものむし歯は減っているようですし、
患者さんの意識は確実に変わっていると
感じることができるデータはあります。

しかしながら、現場での実感は
いかがでしょうか?

定期的に歯医者さんに通うという
習慣がある人は、まだまだ少ないのが
実態でしょう。

少なくとも、あなたが理想とする
レベルからは、まだまだ少ないのが
現状だと思います。

その理由として、患者のデンタルIQが
挙げられるのかもしれません。

あなたが熱心に患者さんに伝えても、
それが響く患者さんもいれば、
響かない患者さんもいることでしょう。

これこそ、デンタルIQの差と
言えるのかもしれません。

デンタルIQの高い患者さんには、
リコールの重要性がきちんと響く。

一方で、デンタルIQの低い患者さんは、
どれだけ一生懸命伝えたところで、
リコールの重要性が響かない。

結局、リコールの重要性がきちんと伝わり、
その気になってくれるデンタルIQの高い
患者しか、定期健診に来てくれないという
状態になっているのかもしれません。

◆患者さんの人生における「リコール」

だからと言って、デンタルIQの高い、
理解力のある患者さんだけを
リコール対象にしていたら、
思うようにリコール患者は増えません。

医院の売上UPを果たすためにも、
あなたの歯科医師としての想いを
実現するためにも、
患者さんのデンタルIQを
高めていくための教育が必要です。

患者さんのデンタルIQを高めるには、
まず「リコール」「定期健診」というのは
どのようなものかを考えてみましょう。

『7つの習慣』という名著がありますが、
この本の中で【第二領域】というテーマが
登場します。

「緊急性」と「重要性」の2つの軸で
物事を考えるというものです。

この2つの軸で考えた時に、
「緊急性は低いけど重要性の高いこと」が
【第二領域】と定義されています。

そして、私たちの人生において、
この【第二領域】の事柄に目を向けると、
幸せで豊かな生活に近づくというもの。

そこで、「リコール」や「定期健診」を
【緊急性と重要性】という観点から
考えてみましょう。

まず、「緊急性」について。

リコールの対象になる患者である以上、
基本的にはひと通りの治療が完了した状態
になることでしょう。

「今、歯が痛くてどうしようもない!」
という患者さんであれば、
歯医者に行くことが緊急性のある問題と
なるのかもしれません。

でも、リコールの対象患者というのは、
基本的には痛みはもう解決している問題。

ですから、緊急性が低いということです。

では、「重要性」はいかがでしょうか?

定期健診を受けることによって、
歯とお口の健康状態を一生涯にわたって
維持していくことができるわけです。

「食べること」は一生の問題ですし、
歯とお口の健康がその他の全身疾患の
問題とも関係があることを考えれば、
人生において重要性の高い項目である
と考えられます。

つまり、リコールや定期健診というのは、
「緊急性はないけれど重要なこと」に
該当するものと言えます。

【第二領域】に該当するものですから、
患者さんにとっては、取り組むことで
人生を幸せで豊かなものにすることが
できるものということになります。

だからこそ、あなたは自信を持って
リコールを勧めていく必要があります。

そして、本来であれば、患者さん自身も
自分の人生を幸せで豊かなものにするために
きちんと取り組まなければならないものです。

◆患者さんにとっての「リコール」とは?

【第二領域】のお話をしましたが、
これに該当するものにはどのようなものが
あるかを考えてみると・・・

・勉強
・老後のための準備(貯金など)
・健康維持活動

このように、今は困っていないけど、
将来のためにやっておいた良いこと
数多く含まれています。

ここで、あなた自身のことについて
考えてみてください。

勉強、老後のための準備、健康維持活動、
こういったものについて、積極的に
取り組むことはできていますか?

これらのことは、今困るような問題では
ありませんので、どうしても後回しになる
というのが正直なところでしょう。

あなたは歯科医師を職業にしていて、
歯とお口の専門家という立場ですから、
リコールの重要性をよく理解しています。

でも、身体のその他の部位となると
いかがでしょうか?

医学的な基礎知識はあるから、
基本的なことは理解しているとしても、
積極的に健康維持活動に取り組むための
時間もなかなか取れないという先生も
少なくないと思います。

そもそも、「医者の不養生」という
言葉があるくらいですから、
専門家であっても、健康維持活動は
つい後回しになってしまうのでしょう。

健康維持活動というのは、
あなたが患者さんの立場になった時には、
つい後回しにしている問題なのです。

つまり、リコールや定期健診が
「緊急性は低いけど、重要性は高い」
というのは、あくまでも歯科の専門家の
目線で見た時に、ということ。

患者さんの立場になってみれば、
重要性に気づいていない、もしくは
重要性に気づいても後回しにしている
問題になるのです。

ですから、まずは定期健診に通うことが
「人生における重要な問題である」と
患者さんに教育する必要があります。

これが、「デンタルIQを高める活動」です。

◆習慣化へのアプローチを!

でも、実はこれだけでは不十分。

なぜなら、重要性が理解できたところで、
今困っているような問題ではないから、
つい後回しにされてしまうからです。

とはいっても、痛くもないものに対して
緊急性を与えることは不可能です。

ですから、「健康を守る」という
重要性だけでなく、もうひとつ重要性
となる要素を加えてみましょう。

それが、【約束を取り付ける】ということ。

つまり、次のリコール来院日を
事前に【予約】として確定させるのです。

人は、約束を守りたいものです。

特に、日本人は真面目ですから、
約束を無下にすることはできない性分。

だから、きちんと約束を取り付けたら、
その80%~90%は来院してくれます。

その結果、あなたが歯を守っていける
患者さんも増やすことができます。

スタッフも、歯が痛くて苦しんでいる
患者さんを見なくて済むようになります。

患者もスタッフも、そしてあなたも、
みんなにメリットがあるリコール。

ぜひ、リコールの次回来院予約を
事前に確定してもらうように、
患者さんに働きかけてみてください。