「不祥事」という言葉に対して、
とても敏感にならざるを得ない
世の中になってきましたよね。
最近でも、芸能人や公的機関の
不祥事がネットニュースを
大いににぎわせています
にしても、不祥事で責任者が
頭を下げる謝罪会見の様子を
私たちは何度目にしてきた
ことでしょうか…
にもかかわらず、不祥事が
いっこうになくならないのは
いったいなぜなのでしょう?
組織ぐるみの故意の不祥事や
その隠ぺいは言語道断です。
しかしながら、不祥事の中には
それ以外のケース、つまり
意図せずに起きてしまった
トラブルもあるかも知れません。
たとえば、通常では
何ら支障のない業務が
不測の事態によって
滞ってしまう場合などが
これに当たります。
このような不測の事態というのは、
あなたの歯科医院でも十分に
起こる可能性があります。
◆スタッフが急病で休んだら?
ひとつの例として、
『スタッフが急病で仕事を休む』
というケースを考えてみましょう。
もしスタッフの1人が
急病で休んでしまった場合、
あなたの歯科医院では
どのような対応ができますか?
a)何ら業務には支障がなく、
通常通りに予約の患者さんや
急患を診ていくことができる
b)多少待たせてしまう場合もあるが、
なんとか予約の患者さんや診療を
こなすことができる
c)スタッフが1人でも休んでしまうと
予定通りに診療することができず、
予約の患者さんや急患を断る場合がある
あなたの歯科医院の場合、
上記のa)~c)の
どれに当てはまりますか?
◆あなたの歯科医院の現状確認
c)のように、1人でも休むと
患者さんを断らないといけないような
状態だとしたら、問題ですよね?
休んだスタッフに電話をかけて、
ひとつひとつ確認しなければ
日常業務が滞ってしまうようでは、
いつどんなトラブルが起こっても
不思議ではありませんよね。
こういう状態だとしたら、
あなたも問題を感じやすいと
思います。
では、b)の状態だとしたら
いかがでしょうか?
おそらく、これまで急にスタッフが
休んだとしても何とか対処することが
できている状態です。
なので、また次に同じような
不測の事態があっても大丈夫だと
思われるかも知れません。
でも、これまでのところでは
たまたま何の支障もなかっただけ
と言えるかも知れません。
次の不測の事態にも同じように
何の支障もなく乗り切れるという
保証はあるのでしょうか?
歯科医院は、医療機関です。
その特性を考えると、
「すみませんでした」という
謝罪の言葉だけでは済まない
ミスや不祥事も考えられます。
そのように考えていけば、
b)の今まで何とかやってきた
という状態は、とても不確定な
状態ということができます。
これは、c)に当てはまる
医院と同様に、改善が必要な状態
と言えるでしょう。
◆a)なら改善は必要ないのか?
では、a)の状態のように
日常業務に支障がなく、
通常通りに診療ができるなら
改善の必要はないのでしょうか?
実際のところ、a)に当てはまる
歯科医院の場合、ベテランスタッフが
多く在籍している医院が多いでしょう。
手慣れたベテランスタッフたちが、
不測の事態も難なく対処していき、
日常業務や診療に支障が出ない。
まさに、理想的な状態です。
しかしながら、ベテランスタッフの
経験に頼り過ぎてしまっていることで、
新人スタッフが育っていない…
そんなケースが多々見られます。
たとえば、あなたの歯科医院でも
次のようなことが起こっていませんか?
・新人スタッフが、何がどこにあるか
把握するまで、とても時間がかかる
・新人スタッフが業務フローを
覚えるまで、とても時間がかかる
このような場合、往々にして
「新人スタッフの物覚えが悪い」と
レッテルが貼られています。
確かに、なかなか仕事を覚えられない
スタッフがいることでしょう。
でも、新人スタッフの不出来だけが
原因と言えるのでしょうか?
◆能力をコントロールできるのか?
新人スタッフが院長や先輩の
指示を受けずに、ひと通りの
業務をこなせるようになるまで
どのぐらいの期間がかかるのか?
これは、一見すると
新人スタッフの力量によって
左右されるように思えます。
しかしながら、視点を変えて見れば、
あなたの歯科医院の仕事のしやすさ、
仕事の覚えやすさを試されているとも
言えるのではないでしょうか?
たとえば、散らかった部屋の中と
整理整頓された部屋の中であれば、
どちらが物を見つけやすいか?
あるいは、手順よく書かれたレシピと
順番通りに書かれていないレシピでは、
どちらが調理しやすいでしょうか?
これを歯科医院に言い換えれば…
・新人でもすぐに何がどこにあるかを
把握できる状況を院内に作れているか?
・新人でも混乱しないような業務フロー、
仕事の手順をマニュアル化できているか?
ということになります。
ベテランスタッフが多く在籍している
歯科医院の場合、知らず知らずのうちに
ベテランスタッフに都合の良いように
整理整頓がなされたり、業務フローが
決められていたりすることがあります。
さらに、それがなかなか見直されないので、
新人スタッフが育ちにくいのです。
新人スタッフが育たないのは、
新人スタッフの能力のせい。
新人スタッフがすぐに辞めてしまうと、
スタッフ同士の人間関係のせい。
そんな風に片づけてしまっていることも
あるようですが、それ以外にも、
前述のような【働きにくさ】も
原因として考えられないでしょうか?
また、そのような歯科医院の場合、
ベテランスタッフが辞めてしまうと、
初めの質問でa)の状態だった医院が
急にb)やc)になる可能性もあります。
そうならないように、
院内の整理整頓や業務フローについて、
定期的に改善を行いましょう。
・「どうして忙しい日に休むんだ!」
→急に休んでも問題ない体制にしよう!
・「どうして新人の覚えが悪いんだ!」
→新人でも覚えやすい仕事のやり方や
マニュアルづくりに取り組もう!
・「新人がすぐに辞めるのは人間関係…」
→新人にとって働きにくい業務フローに
なっているのではないか?
そのように視点を変えてみたら、
問題点から改善策が見えてきませんか?